
受け身は、投げられるために覚えるものだと思われがちです。実際は違います。
受け身は、転んだときに頭を打たないための技術です。だから柔道でも空手でも、そして武道をやっていない子にとっても、最初に覚える価値があります。
この記事では、基本の3つのやり方とコツを説明します。
⚠ 必ず畳やマットの上で、指導者のいる場所で練習してください。フローリングやアスファルトで練習すると、受け身を覚える前にケガをします。
Contents
受け身が守っているのは「頭」と「腕」
転倒でいちばん危ないのは、後頭部を打つことと、手をついて腕を折ることです。
受け身は、この2つを同時に防ぎます。
- あごを引いて、頭を床から離す
- 手のひらではなく、腕全体で床を叩いて衝撃を分散する
この2つが受け身の中身です。技の形を覚えることより、この2つが体に入っているかのほうが本質です。
① 後ろ受け身(うしろうけみ)
いちばん基本で、いちばん使う場面が多い受け身です。
手順
- しゃがんだ姿勢から始める(いきなり立った状態からやらない)
- あごを引いて、自分のおへそを見る
- 背中を丸めて、背中から順に床につけていく
- 床につく直前に、両腕を斜め45度に開いて、手のひらで床を叩く
コツ
- あごを引く——これが最重要です。あごが上がると後頭部を打ちます。「おへそを見る」と言うと子どもにも伝わります
- 背中を丸める——まっすぐな背中で倒れると、背骨が一点で当たります
- 腕は体の横45度——真横すぎると肩を、体に近すぎると効果が出ません
- 叩くのは手のひら全体。指先や手首だけで叩かない
よくある失敗
「頭を打つのが怖くて、あごを上げてしまう」——いちばん多い失敗で、いちばん危険です。最初はマットの上で、しゃがんだ姿勢から繰り返してください。
② 横受け身(よこうけみ)
横に倒れるときの受け身です。
手順
- しゃがんだ姿勢から、片方の足を前に投げ出す
- その足と同じ側に、体を横に倒す
- 倒れる側の腕を、体から45度に開いて床を叩く
- あごは引いたまま、上の足は立てておく
コツ
- 上になる足を立てる——ここが抜けると、そのまま転がって背中や腰を打ちます
- 叩く腕は倒れる側。反対の腕で受けようとすると、体をひねって痛めます
③ 前回り受け身(まえまわりうけみ)
前に倒れる・投げられるときに使います。3つの中でいちばん難しいので、必ず指導者の下で練習してください。
手順
- 片足を前に出し、同じ側の手を、指先を内側に向けて床につく
- 肘を曲げず、腕で丸い橋を作るイメージで、その腕の外側を伝って転がる
- 転がる線は、手 → 肘の外側 → 肩 → 背中の斜め
- 転がりきったところで、反対の腕で床を叩く
コツ
- 頭を絶対に床につけない。転がるのは腕と肩と背中の斜めのラインです
- 勢いをつけない。ゆっくり転がれるようになってから速くします
- 首をひねらない。目線は自分の脇の下あたり
子どもが先に覚えるべき理由
受け身は、武道をやらない子にも役に立つ数少ない技術です。
子どもの転倒は、日常でいくらでも起きます。自転車、階段、遊具、体育の授業。そのときあごを引く・手をつかずに腕で受けるが体に入っているかどうかで、結果が変わります。
道場でキッズクラスに受け身が入っているのは、強くなるためではなく、ケガをしないためです。
練習の順番
| 段階 | やること |
|---|---|
| 1 | 仰向けに寝た状態で、腕を45度に開いて床を叩く(叩き方だけを覚える) |
| 2 | しゃがんだ姿勢から後ろ受け身 |
| 3 | しゃがんだ姿勢から横受け身 |
| 4 | 立った姿勢から後ろ・横受け身 |
| 5 | 前回り受け身(指導者の下で) |
1段飛ばしをしないでください。特に4を飛ばして5に行くと、首を痛めます。
よくある質問
Q. 家で練習してもいいですか。
A. 段階1(寝た状態での叩き方)だけなら、布団やマットの上で構いません。それ以外は道場でお願いします。フローリングでの受け身は、練習ではなく事故です。
Q. 受け身は何回くらいで身につきますか。
A. 形だけなら数回で覚えます。ただし「とっさに出る」までには時間がかかります。毎回の稽古で数本ずつ繰り返すのが、いちばん確実です。
Q. 大人から始めても身につきますか。
A. 身につきます。ただし大人は体が硬く、恐怖心が強いぶん時間がかかります。焦らず、しゃがんだ姿勢から丁寧にやってください。
Q. 空手でも受け身は習いますか。
A. 道場によります。組み技や投げのあるクラスでは習います。誠空会でも、キッズクラスで安全のために扱っています。
最後に
受け身は、やられたときのための技術です。だから地味だし、覚えても人に見せる場面がありません。
けれど、一度身につけば一生使えて、しかも使う場面は道場の外のほうが多い——そういう数少ない技術です。
誠空会は1977年の創立以来、地域で武道を指導してきた道場です。キッズクラスでは、技より先に安全に転ぶことを教えています。
体験のお申し込みは、こちらのご予約ページから承っています。動きやすい服装だけでご参加いただけます。
「いきなり予約はちょっと…」という方は、公式LINEから質問だけでも大歓迎です。
1977年から続く伝統と、現代格闘技として磨かれた実戦性を両立する道場。スポーツではなく「武道」として空手を学びたい方へ。
